ランドセル発見
先日、実家の部屋の整理をしていると、押入れの中から大きな箱が出てきました。その中に入っていたのは、私がかつて使っていたランドセル。スタンダードな赤で、ところどころ皮がはげてしまってはいるものの、使っていた当時のままの姿で保管されていました。
いや、当時のままの姿ではありませんね。赤いランドセルなのに、遠くから見ると黒いランドセルに見えるかもしれません。小学校の卒業式のあと、クラスの友だちみんなでランドセルに寄せ書きを書きあいっこしたのです。「また遊ぼうね」とか「ずっと友だちだよ」とか、可愛らしい女の子の似顔絵など、ランドセルの表面すみずみまでお別れのメッセージが書いてありました。部屋の整理を中断してその寄せ書きを読んでみると、今でもときどき遊んだりするお友だちから全く疎遠になってしまって消息さえもわからない人のメッセージまで、たくさんの言葉が記されています。小学校の卒業式なんてみんなまだお別れの意味もわかっておらず、恐らくこの寄せ書きもノリでしたようなものだったのでしょうが、こうして大人になってから見てみるとやっぱり感慨深いものがありますよね。当時好きだった男の子のメッセージも発見し、なかなかこの頃の私は恋に積極的だったんだなと感心させられました。なんだか見ていると、タイムカプセルを一人で開けてしまったような、懐かしくもあり寂しくもあるような複雑な気持ちにもなります。6年間の思い出をこうして形に残しておくことのできるランドセルは、こうして大人になってからも子どものころ気持ちや思い出を押入れにしまっておけるように開発されたのではないでしょうか。